体験記「友人の自死」

パワハラとセクハラ~それは彼の前世のカルマから来ていたのだろうか?:回想編4

 
身の上語りの中で、瑛人くんは平凡な幸せへの憧れを口にしたことがありました。
「僕はただ、普通に仕事をして、普通に結婚して家族を作って、ってことをやりたいだけなんです。別に大金持ちにならなくたって、有名人にならなくたっていい。そんなに特別なことじゃなくて、普通のことがしたいだけなんです」

それすらも叶わない自分は呪われているのかもしれない。そんなことを言いながらも、では本当に結婚をしたいのかというと、「何かいまいちピンと来ないですね。10年くらい後ならともかく、今自分が家庭を持つなんて考えられません」と、まるで他人事のように無関心な素振りを見せるのでした。
 

パワハラ上司に見下されて増大したコンプレックス

 
瑛人くんが退職に追い込まれたのは、上司からの激しいパワハラがきっかけで統合失調症の症状が酷くなったからでした。
ただ、その症状については医者にそう言われただけで、彼自身は「幽霊に誘導されるように仕事を辞めさせられて山梨に戻された」という表現をしていました。

話の中では、そういう自分を虐げたパワハラ上司たちへの恨み言もよく口にしていました。
「ああいう連中ってちょっとサイコパス傾向があるんじゃないかと思うんですよね。人の痛みが分からないというか、ステイタスで人の価値を決めるというか」
 


 

勝ち組・負け組という言葉が以前流行ったけれど、その思考自体が既得権益側のものであり、権力を持つ側の人々は自分を勝ち組に置いて負け組を見下している。
勝ち組になる条件をざっくり言うなら「金、女、地位」で、そのどれも持っていない自分は負け組にカウントされ、マウンティングの対象にされている――

そんな話を何度となく口にしながら、彼は自分が抱いているコンプレックスを私に度々漏らしました。
「僕は恋愛したいとは全然思わないんです。恋愛に興味がないというか人を好きにならないんです。でも結婚はいつかしたいと思ってて、そのためには女性と付き合わなきゃいけないんだろうけど、今まで誰とも付き合ったことがないんです。それをああいう連中はバカにして見下してくるんで、多少は恋愛経験積んでおかないと人としてまずいのかなって……」

バカにされるのが嫌だったのと、人並みの幸せ(家庭)を手に入れたいという気持ちから、彼はそれでも過去に何度かは女性と交際しようと考えたみたいでした。
 

女性に近付こうとするとことごとく邪魔が入ったという彼

 
結婚のためには恋愛をしなきゃいけない、と思った彼は、顔見知りになった女の子に連絡先を聞こうとしたことが何度かあるそうです。ところが毎回決まって邪魔が入り、結局諦めてしまうという繰り返しでした。
その邪魔というのが、例えば今まさに連絡先を聞こうとした瞬間に「あっ、いたいた」と呼び出しを受けるといった類のもので、本人曰く「俺もう呪われてるんじゃないの?」というくらいに、いつも絶妙なタイミングでことごとく人に邪魔されたそうです。

それにめげずにあともう一押しすればいいのに……と、聞いていた私は思いましたが、そもそも形から入ろうとしていた(恋愛感情は持っていなかった)彼にとってはそれ以上押す気にもなれず、『邪魔が入る=付き合うことを止められている』と感じてしまい、結局誰とも交際には至らなかったのでした。
 


 

瑛人くんの名誉のために書いておきますが、彼は決してモテないという訳ではなかったようです。まったく予想外の女の子から連絡先を聞かれたり、大学受験が差し迫ったタイミングで告白されるなど、彼の意に染まない形ではあれ、女性との接点はごく普通にあったようです。
ただどうしてもシステマティックというか、バリバリの理系で左脳派な彼は、感情というより形式的に(お見合いのように)恋愛を捉えていたため、少しのタイミングのズレも許容できなかったのだと思います。

そういう意味では女性に対してものすごく潔癖でしたし、誰に対しても今まで一度も恋愛感情を持ったことがなかったと言います。瑛人くんのそんな話を聞いて、私にはどうしても江戸時代の前世のカルマがそこに横たわっている気がしてならないのでした。
 

もしも彼が、江戸時代の前世で放蕩三昧の遊び人だったとしたら…

 
私自身が前世で花魁だったらしいことは複数の人々から言われていましたが、瑛人くんの前世についてはただ単に私個人の感覚でしかありません。それでも、私にはどうしても彼が『前世の私の二度の堕胎の相手であり、私を贔屓にしていたお客』のように思えて仕方がありませんでした。

彼が占いブースに定期的に通ってくる姿は、まるで遊女の見世を訪れるお客の姿のように思えましたし、他の女性占い師のところに行った時は、『例の心霊現象(統合失調症の妄想のような?激しいポルターガイスト)が起きて足止めされた』と彼が言うように邪魔が入ったのに、私のところには何回通っても何の支障も起こらなかったのです。
瑛人くんは「夕貴さんのところに誘導された」と何度も言っていましたが、後に彼が亡くなってからも、ミディアムさんの口を通じて「まるで吸い寄せられるように夕貴さんの前に座っていた。気が付いたら目の前にいた」と伝えてきました。
 

私のサロンの鑑定ブースの様子。私は常にこの中に待機してお客様を迎えるので、このブース自体がまるで遊女の見世のようにも感じます。(これはイメージ用に暗くしたもので、実際の鑑定時の室内はもっと明るいです)

 

いつかは結婚したいと言いながら、女性に対してはどうしても好きになれない、交際にも積極的になれないというのは、前世で放蕩三昧を繰り返したことへの戒めとして、「今世では女性に縁のない人生を送る」という設定になっていたのでは?とも思います。
また、女性と付き合ったことがないのを上司にいじられマウントを取られていたこと、男性でありながら会社の人々からひどいセクハラを受けたことなど、セクシャルな事柄には常に苦悩が付きまとっていた彼の人生は、やはりそこに何かしらの宿業めいたものを感じてしまうのです。

次回の記事で詳しく書こうと思いますが、彼が前世から持ち越した(と思われる)そうしたカルマは、私に出会うための仕掛けでもあり、また彼が自死を考え始めたきっかけの一つでもあったように感じます。
実際、この会社でのパワハラが引き金となり、瑛人くんはその後何度も自殺未遂を繰り返したのでした。
 

「サイコパス」と彼が言う、人の悪意と社内風紀の乱れ

 
女性と付き合った経験がないことを上司からいじられていた瑛人くんですが、いつしかそれは激しいいじめとなり、ある社内の飲み会の折には部署内の人々からひどいセクハラを受けてしまいました。
彼が男性だったために(プライドもあり)泣き寝入りだけで済ませたものの、もしも女性だったら大問題になりかねない程の、それは紛れもない犯罪の類のセクハラだったようです。

そのことは、実は瑛人くんが亡くなった後で、彼のお母さんから初めて聞いたのです。お母さんは今でも会社を訴えたいと言っていますが、私が彼から聞いていたのはもっと軽度な事柄のみでした。
「飲み会の日にパワハラ上司に激怒して蹴飛ばしたことがあります」
「前に女性ばかりの会社で働いてたんですが、飲み会の帰りに既婚者の女性が手を繋いできて、思いっきり振りほどいたことがあります。さすがにその後は気まずくなりましたけどね」
「会社に不倫を繰り返す女の人がいたんですが、気に入る人が出来ると化粧が濃くなるんですぐに分かりますね」
等々、占い師に相談するというシチュエーションから何でもざっくばらんに話してくれていた瑛人くんでしたが、さすがにトラウマレベルの話までは言葉にできなかったのだと思います。
 


 

瑛人くんの口ぶりから、彼が勤めていた会社は男女間の風紀的にはかなり乱れている印象を受けました。その時のトラウマが、彼の潔癖さに拍車をかけたのかもしれません。
「僕、社会に迷惑をかける人って大嫌いなんです。僕にとって不倫は絶対にあり得ない」――そう言う彼は、初対面の時に私が左手の薬指に指輪をしていたのがとても気に入ったようでした。彼にとってそれは、『指輪をしている人なら自分に変な色目を使って来ないだろう』という安心材料みたいなものだったのかもしれません。

話を戻しますが、風紀的に乱れた印象の彼の会社では、『男性も女性もモテること、セクシャルな経験が豊富なことがステイタスであり、ヒエラルキー(社内カースト)の上位になる条件』だったのではないでしょうか。
彼の前世的なカルマを思えばそれもあり得なくはないし、彼自身の言葉を借りれば「サイコパスって性欲が強いんですよ。民族的な遺伝子の違いもあるんでしょうけど、反社的というか一夫多妻制を好んだり、ひどいことも平気でできますよね」とのことで、確かに当たり前のように乱れた風紀やセクハラがまかり通っていたのは、多少のパーソナリティ障害傾向を持った人が社内に複数いたからではないかという気もします。
 

▼「友人の自死」回想編:続きはこちら

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夕貴
自ら予言した通りに亡くなった母、突然倒れて帰らぬ人となった父。そして魂の家族とも言える大切な人を自死により亡くしました。それでもまだ彼らの魂は存在していることを、常に感じて記録しておきたい…そんな悪戦苦闘の日々を綴っています。

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